最近、我が家の繊細ボーイほっしゃんの通院で、書き留めずにはおれないことがあったので、そのことをシェアしたいと思います。
発達特性のある息子は病院や薬が大嫌い!
ほっしゃんは、小さい時から本当に病院が嫌いです。ひとつ前の投稿にも書きましたが、そもそもほっしゃんの発達特性がわかったのも、小児科の先生が、あまりにも病院を怖がるほっしゃんの様子を見て、発達検査を促してくださったから。それだけでも、尋常じゃない怖がり方をしてきたことをわかっていただけるかと思います。
小児科も耳鼻科も歯医者も、ほんとにつれていくこと自体が大変でした。病院へ行くと分かった瞬間から、もう何時間でも何日でも泣き続けましたし、道中の車も泣き続けましたし、病院の駐車場へついても車から降りないし、抱きかかえてつれていっても、脱走しようとするし…。診察場面では、先生の手を払いのけ、おさえる看護師さんを蹴り飛ばそうとするから、大人3~4人でおさえつけないといけない感じ。終わってからも、受付でも外出てからも、永遠に泣き続けていました。一生懸命診察を終えれたとしても、次は、お薬の闘いが待っています。何に混ぜても飲まないし、そもそも超偏食で、一般的に勧めてくださるゼリーやアイス・ヨーグルトに混ぜるという方法は、それ自体を食べないので無理。絶対に飲まないといけない抗生物質が出たときなんて、ほんとに苦労しました。(またそんなほっしゃんがどうやって薬を飲めるようになってきたかは、別で投稿します。)
とにもかくにも、いろんな工夫をしてきました。病院選びも、準備段階での声掛け、当日の工夫、ご褒美の工夫などなど。そして、ほっしゃん自身が成長したこともあって、最近ようやく少しずつですが、病院へのハードルが下がってきていました。以前のほっしゃんと比べると…っていうレベルですがね。病院いくことは依然嫌がるけど、「病院いこか~」という声掛けだけでは泣かなくなったとかね…笑。
大ピンチ。発達特性を理解してもらえる病院探し
ただここへきて大問題。最近我が家は引っ越ししたんですよね。他府県への移動ですが、こんなほっしゃんなので、歯医者とか皮膚科とか、急を要さない病院は、わざわざ引っ越し前のところまで行ってるんです。だけど、熱発とか急な対応を要する小児科や耳鼻科だけはそういうわけにはいかないので、新しく病院探しをすることに。
そんな矢先、ほっしゃんが変な息しはじめました。鼻水の量が尋常じゃない。急いで耳鼻科へいかないといけなくなりました。残念ながら、目星をつけていた耳鼻科はお休みの曜日でした。そのため、急いでgoogleの口コミをチェックし他の病院探し。ここがよさげ?という病院を見つけました。ただこれまた残念なことに、口コミのよい院長先生ではなくて、違う先生の日。だけど、HPには、患者に寄り添うこと第一とか、子どももたくさん受け入れいてるとか書いてあったので、そこへ行ってみることにしました。
発達特性を伝えた上で臨んだ診察はいかに?!
問診表に、事前に伝えたいことを書く欄があったので、書きました。「息子は特性により、病院をとても怖がります。診察も内服も嫌がります。可能な限り、怖かった体験というだけで終わらないようにご配慮いただけるとありがたいです。」と。
息子と診察室へ入りました。院長先生とは違う女医さんでした。でもほっしゃん、成長しています。初めての場所でめちゃくちゃおびえてるけれど、抵抗せず、がんばってひとりで座りました。先生は、私に、軽く症状を聞いたら、息子にはなにも説明せず、いきなり鼻に装置をつっこまれました。息子はもちろんギャン泣きです。そしたら、「鼻掃除してるだけ」と冷たく一言。もうほっしゃんは、パニックに入りました。大泣きで手足で先生を払いのける。そしたら、先生、「これしなかったらなおらへんよ鼻水いっぱいでしょ。そら咳でますよ。鼻もかんでるつもりでも、絶対かめてないですよ。こんだけ鼻水落ちてるし。お薬と鼻掃除両方できて治るから、お薬だけでは治りよくないですよ。(ほっしゃん、ギャン泣き継続中)嫌ならしませんけど、治りよくないですよ」で、診察終了。最後、お礼を言う、私やほっしゃんの方を振り返って挨拶されることもなく終わりました。
あの問診票の意味は?読んでない?それとも読んでこれ?特性理解うんぬんの前に、言葉も理解できる息子に対する接し方としてどうなの?
怒りがめちゃくちゃこみあげてきて、その場で何か言おうかなと思ったんですが、引っ越してすぐで、ほかに耳鼻科がたくさんあるのかもわからないし、またかかるかもしれないし…っていう意識が働いてしまって、何も言えませんでした。(その時の私!!!そんなこと考えんとひとこと言えよー!)
診察室を出てからも号泣し続けるほっしゃん。「こわかったーーーーよーーーーーー」と足元から崩れながら泣いていました。おもちゃをひとつくれはりましたが、パニックに入っているので、おもちゃを見る余裕もなし。一緒につれていっていた弟てんちゃんが、「僕もおもちゃほしい~」と言いました。「てんちゃん、残念やけどね、てんちゃんは、今日お医者さんにみてもらってないからもらえないねん。」と伝えると、てんちゃんまで号泣し始めました。てんちゃんを必死で諭しているところに、看護師さんが寄ってこられました。あ、てんちゃんももらっていいよって言ってくれるんかなって思ったら、「診察受けてないでしょ。もらえないよ」と。もう私「・・・」でした。おもちゃがもらえなかったことじゃないですよ。(まあ、くれたらいいのに…っとも思いましたが)それよりも、言い方です。「ほしかったよね…ごめんね…あげれないのよ…」とかせめててんちゃんの気持ちを受け止めてくれたら…って思ったわけです。
ここが「子どもは受け入れていません」って掲げている病院なら、私も文句は言いません。「子どもを受け入れています」「患者さんの気持ち第一です」「寄り添い第一です」って掲げている病院の対応として、どうなの?と思わずにはいれなかったわけです。
そんな感じで心の中で怒りまくりながら、号泣する二人を連れて帰りました。
発達特性のある子にとって一度の恐怖体験が意味するもの
そしてその一週間後くらいのことです。ほっしゃんが熱が出たので、今度は小児科へ連れて行かないといけないことになりました。「ほっしゃん、熱高いから、病院いこっか」と伝えました。
一気に笑顔が消え、「なんでーーーーーーーー?!!!!!!!いやーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!絶対いかへんーーーーー!!!!!!」と大大大号泣が始まりました。
数年前がフラッシュバックしました。最近は、こんな風に、病院という言葉をきくだけで泣き出すことはなかったのに…。
「病院はこわいから、僕は一生どこの病院も絶対いかへん!!!!」と泣き続けました。
そして、そこから病院へ行く瞬間まで、半日ありましたが、泣き続けました。
もう私の怒りと悲しみがまた再燃してしまいました。
特性を持った子たちが背負う恐怖心。それを拭うために、安心感を積み重ねることにはすごくすごく時間がかかります。少しずつ少しずつ積み上げてきた安心感。たくさんの工夫と、かぞえきれない数の体験を重ねてきて、やっとここまで積み上げた安心感と信頼感と自信。だけど、崩されるときは一瞬なんです。そして、それをまた回復していくには、またさらに数倍の時間がかかってしまいます。「病院嫌いの子どもの心理を理解する」ということは、その見えない部分まで理解してはじめて、本当に理解するということだと思います。その日、怖い先生にあたって残念やったね!では済まされない傷と、またそこからの回復のための努力があることに思いを馳せてほしいと願っています。
特性を理解し安心感を育むことの大切さ
同じ失敗はできないので、小児科もリサーチしまくり、一番信頼できるかなと思ったところへ行きました。そして、今回は、診察前に、問診票ではなく口頭で看護師さんにほっしゃんの特性についてお伝えしました。そしたら、「あー大丈夫!」と笑顔でこたえてくれました。それでも半信半疑な私。
先生が診察室へ入ってこられました。お世辞にも、見た目は優しそうではありません(笑)
だけど、全部ほっしゃんに事前に声掛けしながら、「ちょっとお口みせてもらうな」「ごめんな、あーって言ってくれるか」と診察をすすめてくださいました。そして、熱発の原因について、「園で流行ってる溶連菌の検査してもいいけどな、ただ絶対に溶連菌を疑うほどの所見がない。それだけ検査とかをこわがるお子さんということやから、そんな思いまでさせて、調べる必要があるか?と聞かれたら、そうは思わない。それよりも、検査はなしで、今の所見から出せる薬にしたらどうかと思うが、お母さんはどうですか?」と聞いてくださったんです。
溶連菌かどうか知りたい気持ちがあったけれど、私もこの子がもう一度病院で安心感を積み重ねていくこと、先生を信頼できること、を優先すべきだと思い、検査はパスでお願いしました。「これで薬のんだあともまた熱があがったら、そのときは申し訳ないけど調べないといけないかも。でも、その時検査してもおそくないから、大丈夫だからね」と、母として心配な部分もちゃんと説明してくださいました。
診察室をでるとき、笑顔になったほっしゃんが言いました。「あれ?何にも(こわいこと)されへんかったやん♪」って。私は、心の中でガッツポーズしました。やった。ひとつ安心感の種を蒔けた…と。安心感の花が咲くのはまだまだ先です。でもこうやって、種をまくことが大事なのです。
診察室から出てしばらくお会計を待っているときに、ほっしゃんが突然大泣きし始めました。「お薬飲むのいややー」と。お薬の話題がでていたことを突然思い出したんだと思います。(これも特性っ子あるあるですよね。いやだったことを突然鮮明に思い出して泣くっていう…)看護師さんがわざわざ出てきてくれました。「どうした?何が嫌やったんかな?」って。「お薬もハードルが高くて、嫌で泣き出したんですよ~」って私が言うと、「そっか…ごめんね。飲みやすい形のにはしてもらおうね。チョコにまぜてもいいしアイスにまぜてもいいからね」って、しゃがんで、ほっしゃんに伝えてくださいました。それで泣き止んだりはしません。でも、「僕の嫌な気持ちをわかってもらえた」という体験で、きっと小さな小さな安心感の種がまた植わったことと思います。お薬をのまないでいいよ!ってしなくても、その受け止める声掛けが、この子に安心感と次の受診につながる強さを与えてくれたと思っています。先生にも看護師さんにも、受付の方にも、感謝しかありません。
植えた安心感の種は、大切に守っていけば、必ず大きく育っていきます。ほっしゃん自身が、すでに証明してくれています。あんなに全ての病院で脱走していたほっしゃんが、信頼している先生のところへは泣かずにいくようになったこと、私がおさえつけなくても一人で座れるようになったこと、それらすべてが安心感が育まれてきた証拠です。今回大きく崩れてしまったけど、また同時に、一緒に育んでくれる病院にも出会えました。感謝♪
特性を本当の意味で理解してくださり、一緒に安心感の種を植えてくださる病院が増えていくことを願ってやみません。そして私自身も、息子や関わる方の心の中に安心感の種を蒔くお手伝いができますように。
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